2022/12/09 17:24

大阪府高槻市の鵜殿ヨシ原と呼ばれる場所があります。

高槻市はちょうど大阪と京都の中間地点に位置しており、
JR大坂駅からも京都駅からも新快速で約15分で到着します。

鵜殿ヨシ原は、上牧(カンマキ)と道鵜町と呼ばれる地域の淀川右岸にあるヨシの群生地をさし
大阪みどりの百選、関西自然に親しむ風景100選、美しい日本の歩きたくなるみち500選にも選ばれています。

鵜殿は、京都から流れる宇治川と桂川、木津川の合流地点から約5㎞下流にあり
肥沃な土砂のおかげと他には珍しく水中でなく陸上に育つことから他とは異なる特徴を持ったヨシです。
府外の方には、ウイスキーで有名なサントリー山崎の蒸留所の近くといったほうが
わかりやすいかもしれません。

ここで取れるヨシは琵琶湖や利根川水系のヨシと異なり密度が濃く、弾力性があり太いヨシが採取できます。

昔、船が輸送手段として活躍した時代、
都であった京都と大阪の中間地点として、この場所は交通の要としても重要な場所であったようです。
古くは紀貫之の「土佐日記」に「今宵鵜殿というところに泊まる」と記されています。
また谷崎潤一郎の「蘆刈」という小説のが鵜殿ヨシ原とも言われています。他にも、明智光秀と羽柴秀吉(豊臣秀吉)が戦った山崎の合戦も羽柴軍が鵜殿ヨシ原に隠れて進軍し
明智軍を横からついたのではという逸話もあります。

紀貫之や谷崎潤一郎が見たであろうこの風景が、これからも豊かなヨシが茂る場所であってほしいものです。

日本の文化としても非常に大切な場所だと言える一つに
鵜殿ヨシ原で取れるヨシは、日本のオーケストラともいうべき雅楽でつかう楽器の「篳篥」(ひとりき)の音を奏でる
重要なパーツとして昔から利用され続けており、今なお、宮内庁楽部ではこの鵜殿のヨシが使われいます。
鵜殿のヨシがユネスコの世界文化遺産である雅楽を支えているといっても過言ではありません。

ある意味、鵜殿のヨシが途絶えることは、平安時代から続く篳篥の音が途絶えるのと同義語です。

歴史的にも文化的にも自然的にも貴重でユーモアのある
鵜殿ヨシ原の認知の向上と保全の一助になればと想いから、
この度、「Udono fabric」というブランドの立ち上げにつながりました。