2022/12/11 17:20

蚊帳(かや)を1980年以降に生まれた方は、見たことがないのではないのでしょうか?

寝具を取り扱う我々からすると蚊帳=西川といっていいほどなじみがあります。

一般的には、西川=寝具のイメージが強いかと思いますが、
ご存知の無い方のために言っておくと、
もともと近江商人であった西川甚五郎という方が
当時萌黄色の蚊帳を作って販売したのが、全国的に大ブレイクして西川が大きくなった経緯があります。
エアコンも網戸もない時代、蚊を避けるための道具として発達したものが「蚊帳」です。
網戸の目のように縦糸と横糸を隙間を少し開けて織物にすることで、
蚊の侵入を防ぐが、風はしっかり通るというのが蚊帳生地です。
また蚊帳に使われる糸は「麻」「綿」などを使用するのですが経糸も横糸も麻100%のものが
一番高級でしかも蚊帳を通過した風が冷えることで内部が涼しく眠ることができました。
経糸を綿にして横糸は麻といったものや、糸そのものを麻と綿の混紡糸にしたもの等いろいろな蚊帳がありましたが、
住宅のサッシの普及とともに蚊帳は使われることがなく、網戸やクーラーへと変化していきました。
この蚊帳生地の産地が奈良県でその伝統的な織技術を用いてヨシ糸で作ったのが鵜殿の蚊帳ふきんです。
蚊帳生地を5枚に重ねて丈夫さを保ちつつ、粗目の生地でふき取りやすく、しかも乾きが早いふきんに仕上がっています。
タオルをふきんに使用するとどうしても生乾きになって臭くなりがちですが、天然の抗菌力を持つヨシ糸の効果も相まってか
非常に臭いにくいふきんに仕上がってます。

↓滋賀県近江八幡にある西川本家にて撮影した萌黄色の蚊帳です。